学生ローンの裏街道

借りたものは必ず返す。
当たり前の話だが、これがなかなか難しいものだ。
頭では理解していても、収入が追い付いてこない。
郵便ポストには督促状が3日にいっぺんは来る有様だ。

事の発端は学生ローンだ。
はじめて学生ローンで借りたのは、まだ大学に入ったばかりの1年生初旬、確か5月ころだったと思う。
田舎から上京してきて間もない頃だった。
都会での一人暮らしは想像以上に厳しく、ホームシックに陥っていた頃、どうしても生活費が足りず、気楽な気持ちで学生ローンに足を運んだのだ。

最初の借り入れ金は5万円だったので、利息は1ヶ月750円ほどだった。
年率で18%、当時としてはごく平均的な金利である。
正直、夏休みのバイトを頑張れば、余裕で返せると思っていたのだが、考えが甘かったようだ。
返済どころか、みるみるうちに借金が膨らんでいく恐怖に悩まされる事になろうとは、夢にも思っていなかったのだ。

学生ローンで借金をする事は、決して悪い事ではないと思うが、安易な気持ちで借りるのは、当たり前の話だがよくない。
月並みで申し訳ないが、収入と支出のバランスが重要だという事を、まざまざと思い知らされたのである。

学生ローンを知らない人の為に、簡単に説明しておこう。
学生ローンとは、学生専門のローン会社であり、それ以外は一般の消費者金融と変わりはない。
金利もほぼ同じで、違う点は銀行やコンビニなどのATMが使えない点くらいだろうか?
一つ大きな違いは、大手は学生では審査が通りにくいが、学生ローンでは学生でないと借りられないという真逆の状況だ。
学生が大手ではなく、学生ローンを利用する理由はここにある。
大手に比べてたとえ不便でも、借りられなければ意味がないという事だ。
その辺の棲み分けは、なかなかうまいと感心してしまうほどだ。

そんな学生ローンでハマッてしったわけだが、利用限度額という魔物には困ったものだ。
自分の金ではないのに、自分の金のように思えてしまうのだ。
金が底をついても、まだ20万円の枠がある、まだ10万円ある、そうこうしているうちに1社分が飽和状態になる。
やむを得ず、次の1社を採掘する。
枠が再び30万円つく。
そうこうしているうちに、借金が3ケタの大台に突入した。
今では年収の3分の1までしか借りられないが、以前は借りられたのだ。
仮にその時代に同様の法律があったら、自分はどうなっていたのかわからない。
少なくとも借金まみれの生活はしなくて済んだだろう。
ただ、諦めなければならないものも多々あったろう。
中には、お金を借りる事ができて助かったケースも少なくない。
いや、むしろそっちの方が多かったと思う。
ただ、ギャンブルに使った分は余計だったと猛反しているところだ。

今ではすっかり借金の返済も完了し、金策で駆け巡る日々からも解放されたが、当時は本当に地獄のような日々だった。
もう二度とあのような苦しみを味わうのはゴメンだ。
ただ、学生時代のその経験が、今の自分を大きく成長させたと思っている。
あの頃の経験があるから、今は何事にも慎重になっている。
このような経験をした人は数多くいると思うが、これから学生ローンの利用を考えている人には、ぜひとも貴重な体験談として、参考にして頂ければと思う次第だ。

学生ローンは使い方によっては、大変便利なものである。
学費の足しなど、今まで多くの学生たちの一助として、貢献している事実もある。
要は、使い方ひとつなのだ。
そこを理解しなければ、学生ローンは単に自分を苦しめるだけのものとなるし、きちんと理解していれば、なくてはならないものとなるだろう。